胃薬

 ダーゼンと言う消炎剤が実は効果がなかったという理由で回収されている。安い薬だから今まで何年も税金を食い物にしていたけれどそんなに影響はないのかもしれない。嘗て脳に効くと言って汎用されていた薬も同じように姿を消したことがあるが、ひょっとしたらまだまだ無くてもいいような薬が多く出回っているのかもしれない。医者が診察し、薬局が効能を説明し、患者が効くと思って飲んで症状が治った人も多かっただろうから、如何に薬を飲まなくても治る力を人間は持っているかって事だ。放っておいても治るものを、敢えて薬で対処している場合も意外と多いのかもしれない。効能がない薬で医院や薬局が報酬を得、患者が金を払っていたなんて滑稽だ。誰かが謝ろうなんて姿勢はない。うやむやになり話題自身も自然消滅するのだろう。  いつもの胃薬を取りに来たおばちゃんがまくし立てた。ヤマト薬局に来れなかったから通りすがりの薬局で買おうと思って薬の名前を言ったら扱いが無くて大正漢方胃腸薬を勧めてくれたらしい。でもいつも飲んでいる胃薬だったら1包で効くのに、3日飲んでも全く効かないそうだ。それはそうだろう、僕が出していたのは単なる消化剤だから、大正漢方胃腸薬とは似て非なるものだ。ただ、どちらも胃薬という単純な共通項があるだけで、ほとんど別物だ。ただこれはダーゼンとは違って、その用途に合わせて使えば効果はそれなりに期待できる。薬剤師か店員か知らないが、大正漢方胃腸薬に消化を助けるようなものは入っていないと気がつかなかったのだろう。 つくづく薬は難しい。効かないものでも信用すれば炎症がとれるし、効くものでも目的を間違えれば全く効かない。心理が薬理に優ったりする不思議な世界だ。でもまあ、無理が道理に優る政治屋の世界よりましか。