粗雑

 パニック障害を完全に漢方薬で克服して貰った女性が久し振りにやってきた。念のために漢方薬をストックしておきたいというのだが、この種の事はしばしばあることで、良い手だ。その時に彼女が言ったことで、参考になることを思いついたので今日は披露しておく。 少し気持ちが変かなと思ったときに、どこかで漢方薬を買ったらしいのだが、飲んで気分が悪くなったのだそうだ。彼女にとってみれば僕が作る○○湯も、他の薬局やドラッグや病院で手に入れる○○湯も同じと思っていたらしい。ところが飲んでみて本来なら効くはずのものが、逆に気分が悪くなったのだから、彼女も驚いたらしい。 漢方薬が効くか効かないかを大きく作用するものに、使われている材料の質の善し悪しがある。粗雑で安価なもので作られれば効かないのは当然だが、売られるときにそれを表示するものは何もない。綺麗な箱に入っていればどれも皆同じと考えるだろう。考えてみれば簡単なことだが、部外者はそれには考えが及ばない。薬以外の分野で働いている人なら、自分の専門分野で考えてみれば容易に想像が付く。粗雑な材料で作れば船は沈むし飛行機は落ちる。  近頃噂される「漢方は効かない」の大きな原因がこの粗雑な原料で作った漢方薬だと思う。健康も倫理も道徳も、全て金、かね、カネ。粗雑な人の心が織りなすこの社会こそ、不良品の最たるものだ。