症例集

 「お薬を飲む前の頃とは比べものにならない程改善されています。以前は1日中しんどかったので何をしていてもその事ばかりに気がいって集中出来ませんでしたが今はさほど考えずにいられます。先生のブログなどを見ているとどんな症状でも治して頂けるのでないかと期待してしまいます。」  有り難い言葉で礼を言われたが、くすぐったいのを覚悟でよい機会だから、説明させて頂く。症例集に載せているのは100%店頭の事例だが、それはうまく治ったものだけを載せている。陰には役に立てなかった症例も一杯隠れている。僕が具体的な治験例を載せるのは、漢方薬の守備範囲をしっかりと訴えたいためだ。漢方薬は最早昔のようにベールに包まれた不可思議なものではない。実践的に治療を積み上げてきたあげくの統計学みたいなものだ。最近は科学的なメスが入ってますますその価値を高めたが、古人が正に人体実験の無限の積み重ねで得た知識だ。だから効くのは当たり前だ。効くものだけが残っているのだから。ただし、僕達勉強を重ねてきた人間には、何に効いて何に効かないかは良く分かっている。漢方薬は夢を売るものでもないし、絶望の淵に追いやるものでもない。効くものには効き、苦手な領域には効かないのだ。僕の症例集を見てもらえると、立派な書物より何に漢方薬が効果があるか分かってもらえる。自分と同じ症状だと思えば、漢方の守備範囲だと考えてもらっていいし、載ってなければ漢方薬でも難しいのだと思ってもらえればいい。 世の中にはつまらない書物もつまらない○○もいる。残念ながら、そう言ったものに限って虚飾のオンパレードだから立派に見える。要は騙されて大切な今にも枯渇してしまいそうな生薬を浪費して欲しくないのだ。漢方薬しか解決の方法が無いものだけに生薬を使って欲しい。どんな症状でもと言ってくださった方の言葉の前に、「症例集に載っている」とつければ万全だ。