修正

 昨日の業界雑誌の記事についての余談。  何も知らされずに取材を受けたのだが、その後、掲載されると取材代2万円がもらえる事を知った。それと雑誌が何冊必要なのかと尋ねられた。1冊あれば充分だから、怪訝な顔?でその質問の趣旨を尋ねると、親類などに配りたいからと結構要望が多いんですと答えられた。多い人では100部ほど要求されるとも教えてくれた。僕は1冊で良かったが何となく20部と答えてしまった。1冊では格好が付かないから口から出任せの数字だ。さて、実際に20部送って来られたら案の定困ってしまった。こんなもの親類に送っても、読みもしないだろうし、まだそんなだらしない格好で薬局をやっているのかと苦言を頂戴するのがおちだ。折角綺麗な雑誌を送ってきてくれたのだから、有効に使える方法はないかと考えたあげく、僕を知らないで漢方薬を飲んでくださっている人の中で希望される人に送ろうと思いついた。  そこで、あらためて中身を見てみたら、やはり見るに耐えれない。こんなもの見せたら安心して飲んでくださっている人でも止めてしまうかもしれない。効果が出ている人でも効かなくなってしまうかもしれない。美味しいと思って煎じ薬を飲んでくれている人でもまずいと思うかも知れない。薬局の中は実際よりずいぶんと綺麗に写っているのだが、僕のアップで写っている顔がいけない。元々の素材がだめなのに加えて、ばさばさの髪をはじめとした風貌が良くない。やはり散髪屋さんに行って綺麗にしてもらっておけば良かった。後輩には、僕の顔は修正を加えておくように頼んでいたのに、薬局の風景の方だけ修正したのかもしれない。  結局行き場の無い雑誌は、廃品回収を待つことになる。昔なら、風呂のたき付けくらいにはなるのだろうが、生憎今は灯油だ。こうしてみると僕にとっては何の意味もないものになってしまった。製薬会社にとっても意味があったのかどうか疑わしい。ただあるとしたら、全国の薬局が雑誌に目を通して自信を持ってくれることかもしれない。「うちの方がましだ」何千回、日本中の漢方薬局で口から漏れた言葉だろう。ああ、又人を喜ばせてしまった。