ひたすら

 42歳を1ヶ月前にして、妊娠をしてくれた女性がいる。病院帰りにご主人が報告に来てくれた。そんなに難しい漢方薬を作ったつもりはないけれど、良い手助けになったのだろう。奥さんのコメントは聞けなかったが、ご主人がめっぽう喜んでくれ、何度も礼を言われた。古人の知恵に感謝する。こんな時代にも充分すぎるほどの働きをしてくれる処方を作ってくれたのだから。現代医学では抜け落ちている理論を漢方薬が埋めてくれるのだ。科学が未熟な時代に良く人間の生理を観察したものだと今更ながら感心する。  それにしても礼を言いたいのは僕の方だ。常識論の前で、僕自身が折れないことの大切さを知った。努力とか、根性とか、そんな大げさなことではなく、ただひたすら継続することの力を知らされた。結果を焦るのはむしろ僕の方で、当人達の方が淡々としていた。職業故の見栄か責任感か分からないが、少なくともそのどちらも、恐らく今回のことに対しては無用だったのだ。ただひたすら僕が信じる漢方薬を飲んで頂く、それだけでよかったのだ。僕の苦手な、ただひたすらを実践してくれた夫婦に感謝。