援軍

 読みながら、そうだろ、そうだろといちいち納得し、出来ればその記事の全文を無断で紹介したい気持ちだ。薬局で、言葉足らずだが半年間に渡って言い続けていることとさほど違いがなかったから、安心した。だけど僕がいくら声を張り上げても、カウンター越しに立っている人しか聞こえないので、ほとんど影響力は行使できないが、さすがに首都大学東京教授の言葉ともなれば、まして新聞に載っているとなれば、影響は大きいだろう。医師でもあり公衆衛生学の専門家の説だから、記事を読んだ人達にはよく考えてもらいたいと思う。 インフルエンザに感染してもほとんどの人は免疫を獲得するから発病するのはごく僅か。インフルエンザの流行は毎年冬季に繰り返され数年以内に国民の大半が感染し、そのほとんどは発病せずに免疫を獲得する不顕性感染。虚弱高齢者は二次感染を起こして毎年1万人が死亡している。この辺りは巷によく言われていることだが、ここから後が面白い。過去、感染症が撲滅されていった経緯を世界各地の事例で振り返ると、ポリオや天然痘におけるワクチンの劇的な効果は寧ろ例外で、多くの致死的な感染症が激減された背景に、栄養の向上と上下水道などの環境衛生の整備が関係していて、ワクチンや抗生物質の役割は極めて少なかったと言うのだ。特に経済発展による食生活の豊かさの寄与が大きいことを歴史が証明しているとも言う。  星教授によるとなんのことはない、ワクチン接種の前にするべきことは、たとえ感染しても発病させないための適切かつ充分な栄養をとることらしい。最近は、コレステロールが高くて小太りな人が一番長生きと言うことが分かってきたが、長寿には栄養が一番ってことを裏付けていると断言している。  僕はうがった見方を何に対してもする方だから、世の動きも単純には受け入れない。誰かが、どこかが、大儲け、それも社会貢献するかのようなポーズの裏でしているような気がする。不安を煽り、必要のないものをどんどん注射したり飲ませたりして巨万の冨を又誰かがどこかが築くのではないかと思っている。もしその様なもの(ワクチンやタミフル)が本当に必要なら、多くの後進国新型インフルエンザで滅んでしまう。いやいやきっと彼らは寧ろたくましく立ち向かうに違いない。どんな外敵にも護衛付きでは強くはなれない。自分の身体に持っている武器で戦わずに、すぐ援軍頼りでは強くはなれない。敵は逃げるかもしれないが、戦わなかった己が強くなるとは思えない。あらゆる病気にワクチンが作れるならそれはそれでいいかもしれないが、相手は無数にいるのだからそれは不可能だ。どんなに恐怖を煽られるような情報が散乱しても自分が強くなるしかないと僕は思っている。