早寝

 果たしてのむかどうか分からないが、息子の所に勝手にインフルエンザ予防の漢方薬と、疲れに抜群に効く栄養剤を送ってやった。都市部で暮らす人達にとっては恐らくそのウイルスはすでに身近に来ていて暴露されているに違いない。激烈な症状ではないらしいから自分で治している人も多いだろう。だから次第に感染者を増やしているのだ。自分の体力の方が遙かに懸念材料なのに、いつまで経っても親は親なのだ。どんな職業に就いていようが、関係ない。  寧ろ僕の所に足繁く通ってくる人達の方が信頼してくれて、早速何人かが漢方薬を取りに来た。こうなれば意地でもその人達には感染してもらわないようにしなければならない。気がついたのだが良く来る人達はマスクを欲しがらなかった。ほとんど欲しがったのはあまり縁のない人達だった。別に僕の影響ではないが、何となく薬局を利用する人は自力更正型が多い。勇気があるのか変わっているのか知らないが、臆病で全うな僕とは対照的だ。自然治癒力を下手に薬で阻害しないところが良いのかも知れない。体調不良を自分の持っている力で克服できればそれに越したことはない。身体も頭もそれを学習するだろうから。せめて学生時代に学習しなかったのだから、病気を克服することぐらいは肉体が学習して欲しい。  もううんざりだから、インフルエンザと政治の報道は見ない。バラエティー番組は相変わらずくだらない人間の行列だから、見るに値しないし、夜にすることがない。苦手な早寝を最近残された選択肢としてしているが、結構寝付けるものだ。その代わり朝の5時半には起きている。朝を競う鶏は近所にはいないが、鶏にも負けない人々がいて、決まって朝の挨拶をするようになった。一回りも二回りも上のその人達にとって僕は新顔なのだ。頭を深々と下げて道を譲っている。