失敗体験

・・・・最近大便がバナナみたいになってきましたよ!気持ちいいおならってのはまだでないんですけどね。薬は飲む回数を減らしたら怒られちゃいますか?ちょっとの体調不良ならなんでもないと思えるようになりました。漢方ってすごいんですね!・・・  漢方薬がすごいのではない。その若さがすごいのだ。1ヶ月で恐らくお腹の緊張がとれたのだろう。痙攣しなければ大きなウンチは出る。そのうち幸せって叫びたくなるほどの気持ちの良いおならも出てくるだろう。中学、高校時代の苦しみは何だったのだろうとこの子は言った。僕と早くあっていれば、苦痛に満ちて自虐的な数年間はなかったと思う。その数年を経てもなお素敵な笑い声を保っていたのは、余程家族が支えてくれたのだろうと思う。 ・・・・もうだめ、涙が出てきそう。やばいっす、でも勇気が出た、頑張る・・・・学校に行き、学園祭を楽しみ、みんなの前でバンドをする、そんな夢が叶わなかったから、悔しいそうで、考えれば考えるほど落ち込むらしい。学校は楽しいものか?学園祭でみんな唄うのか?いやいや仕方ないから高校へ行き、学園祭にも春の旅行にも修学旅行にも行かなかった。大学に行って真面目に通ったのはパチンコ屋だけだ。したのはパチンコ、しなかったのは勉強。こんな青春が羨ましいのか。こんな青春なら誰にだって出来る。子供より募集人数の方が多くなるのだから誰だって大学には行ける。大検を受け、大学に行って遊びまくれと言ったら、急に元気を回復してくれた。 ・・・・10年前、仕事中に急に失神しそうになり病院に行き、死にたいことがあると言ったら、精神病薬をくれた。それ以来ずっと飲んでいる。割れたガラスに腕を振り下ろしたら血が吹き出した・・・・いくつもの切り傷刺し傷で手が握れない。数日前いきそこなった女性と笑いながら話した。なかなか勇気があると感心した。いきそこなったくせに失血でふらふらするのを治す薬を取りに来るのだから、かなり正常だ。煎じ薬でもう治ったと思っていたが、よく考えてみれば元々すこぶる正常な人のような気がする。まじめ過ぎ病、気を使いすぎ病なだけだ。いやいや、今は単なる低血糖のような気もする。これを治さなければならないのか疑問だ。  マスクはありませんと、何十回断っただろうか。つまらない日だったが、相も変わらず僕の失敗体験だけが生きる。悩んでいるうちはまだ希望がある。それが若さなのだ。もう悩む力も気力もなくした僕に言わせば、創造的な苦痛なのだ。創るための苦しみなんて若さの特権だ。まだまだキャンパスには一杯余白が残っているではないか。海だって、空だって、人間だってその中に自由に描ける。筆もインクも自分が握っている。ゆめゆめ人に描かせるな。