かんぽう

 何とも恐ろしい数字だ。アメリカで家庭医を学んで帰ったあるお医者さんが、日本で開業医について調査した結果だ。開業医が、風邪などのありふれた病気を除いた診断の精度が3割くらいなのだそうだ。アメリカの場合は、学生の時のカリキュラムも卒後の資格の更新試験も充実していて、向こうの研修医にもかなわなかったと書いてあった。  日本では大病院志向なのもうなずける。患者が長年の間に見抜いているのだ。あれだけ勉強している医師がその程度なのだから、薬剤師なんてまだその下だ。ひょっとしたら1割にも満たないのではないか。医師が日常ありふれた風邪を除いてと言っているのだから、薬剤師だったら何を除けばいいのだろう。日常ありふれた間違えようのないものって何だろう。そんなものないのではないか。診断術を習っていない、診断する権利もない薬剤師が的確な判断を下すのは難しい。  半年くらい前に、ある漢方薬局で腎臓が悪いと言われて、おまけに法外な値段の薬を買わされたと言って嘆いていた老人がいた。老人がふと漏らした言葉で、腎臓が悪いとなって脅し商法に乗せられたみたいだ。私は腎臓病かと僕に尋ねられたので、そんなことが断定できるのは医師しかいないから、無視していたらと言った。知識がない人ほど、限られた情報で判断を下すから結論が早い。知識を引き出しの中に一杯ためている人は、その情報を精査してから結論を出すので、答えがなかなか出てこない。じれったくなるほどだが精度は高い。  6月から薬剤師でもない人が薬を買うときに助言するそうだ。誰が何のために考え出した制度か知らないが、きっとかんぽの宿と同じような濡れ手に粟の人間達がいるのだろう。誰かが裏で大もうけするに違いない。そう言えば名前がよく似ている、「かんぽ」と「かんぽう」