機関紙

 ある県の保険医協会という医師と歯科医師の団体の役員をしている後輩から、ある会合で、薬剤師を蔑視するような発言が出て、薬剤師であり歯科医師である後輩が、医薬分業に対する認識不足を正してもらうために、自身の見解を機関誌に載せてもらおうと思ったらしい。下書きを読んでと文章を送ってきてくれたのだが、それに対する僕の返事。

 読ませてもらって、付け加えるところなどありませんし、まして訂正するところなどありません。むしろ、そうなのか、そうなのかと感心しながら読ませてもらいました。改めて、医薬分業の歴史とか、功罪等を認識させられました。この文章が機関紙だけに載るのはもったいないと思いました。もっと、消費者の目に止まってもいいかもしれません。  不快な事を言われたお医者さんは、良い薬剤師と巡り合っていないのでしょうね。もし巡り合っていたら一般論の前に立ち止まることが出来ます。多くのものの中には陰陽がバランスを保って存在しているものです。どちらに多く接するかは人間性による引力が決めます。  あなたの文章を読んで頭に浮かんだ言葉があります。それは台詞と言葉の違いではないでしょうか。1つの医院に従属するかのごとき薬局は、処方箋を持ってくる人に、最大公約数を満たした台詞を口に出せばいいのです。マニュアル化してパソコンが誘導もしてくれます。処方箋を運んでくる人たちに、国が求めている最小限のことをすれば、経済的な見返りも得られます。  一方、あなたの言う地域の細々と生き延びている薬局は、僕などその典型ですが、台詞ではいけません。まるで日常の延長で薬について、健康について話をします。「さっき帰った母ちゃんが悪口を言っていただんなが、その後すぐに入ってくる」こんな場面は日常茶飯事です。これをどちらも健康に、幸せに裁かなければなりません。マニュアル化した台詞ではできるはずがありません。病状が気になる人にはわざと来させて、こんこんと・・・・笑わせます。勿論それは無報酬で、投薬指導とかかかりつけ薬剤師とかの報酬はもらえませんし、いりません。  町の薬局が質の高いことは出来ません。40年OTCや漢方薬をやって来て、これだけはどの医者にも負けないでしょう。ただし、調剤に関しては、どの卒業したての薬剤師にも負けます。質の高いことは、あなたの言う病院薬剤師に任せて、町の薬局はひとつくらいの得意技を持つくらいでこらえてもらうしかないでしょう。薬と言うただの化学薬品を人の心と言うオブラートで包んで患者さんに飲んでもらう、その程度で得意技以外は許してもらう。  僕はもうここまでですが、6年制卒業の薬剤師たちは、その得意技を多く持つ力があります。そうした人たちがこれからはどんどん業界に入ってきます。心無い言葉を吐いたお医者さんも、いずれはそうした能力ある薬剤師達と巡り合い、考えが変わるのではないでしょうか。勿論、心と言うオブラートは若くて優秀な薬剤師にも必需品ですが。

いい物を読ませてもらってありがとう。

大和