弱み

 あの人には勝てない、あの人達にはどうしても負けてしまい、避けてしまう。いつもどこかで恐れていて、出来れば会いたくない。そんな経験は、余程気が強い人以外は持っているだろう。もう何年も何十年も、コンプレックスを抱えながら生きている人も多いだろう。あの人さえいなければ、あのグループさえなければと、原因を外に求めてしまう。オブラートか磨りガラスで本当の弱い自分を隠して生きようとするが、そんなこと永久に出来るわけがない。10年も20年も自分の弱さを隠して生きれるものでもない。  所詮勝てそうにない相手も実は恐れる必要はない。自分の持っているコンプレックスを一度さらしてしまえば、もうそれ以上隠す必要はない。弱みは隠すからいつまでも弱みなのだ。もともとの具体的なコンプレックスよりも寧ろ、それを隠して感づかれないことばかりに気を使い、疲れ切っていることの方が多い。誰もが弱点なんか一杯持っている。弱点は人前にさらしたときから個性になる。隠せば隠すほど精神が追いつめられる。  もし僕らが恐れるとしたら、全てを許してくれる圧倒的な寛容の持ち主だ。もし、そんな人が実際にいたら畏れなければならない。そもそも恐れる相手が違う。次元が低いところで悩み立ち止まる必要はない。