四文字熟語

 恥ずかしながら僕は結構こまいこと(細かいこと)を長年続けている。そしてその決行日がまさに今日なのだ。第2火曜日ってことだ。 牛窓町のゴミの収集日で第2火曜日は金属混合ゴミの日に当たり、金属製のフタや我が家で言うと分包紙の印字用のロール滓などが該当する。しかし、それらの1ヶ月分を集めても、20cm四方の器に収まってしまうくらいのかさにしかならない。だからわざわざ大きなそれ専用のビニール袋に入れる必要がないのだ。もっとハッキリ言うと、すでにゴミの集積所に出している他人の袋の中に入れさせてもらえば用が足りるのだ。新品の袋がどのくらいの金額がするのか知らないが、金額と言うより、ただただほんの少々を捨てるだけのために使うのがもったいないのだ。だからもう何年も僕はよそ様が捨てたゴミ袋に便乗している。ただ、それでも僕には若干のプライドと後ろめたさがあるから、堂々とは捨てれない。  毎朝シャッターを開けるから、まさに目の前のゴミの集積所とは2mと離れていない所を支柱を持って通る。30年毎朝くり返している光景だから、誰もが見慣れた光景なのだ。ところが今日の僕は恐らく不審者のような目つきをしている。人は勿論車も通らないタイミングを見計らって、すでに出されていてなおかつ袋に余裕があるものを見つけて、素早く薬局に持って入る。その時、袋はどちらかというと身体の前に持ち、車道からは見えないように隠す。わざとらしく隠したらいけない。何気なく隠すのがコツだ。そうすれば仮にバレても、何かを出し忘れて自分が出した袋に追加しているように見て貰える。薬局の中で我が家のゴミを入れたら後は堂々と胸を張って集積所に出す。この時点では視線は気にならない。これで一件落着、いや一袋倹約。  僕はこの倹約運動と四文字熟語を是非日本中に流行らせたい。みんなでやれば朝からこそこそする必要もない。正々堂々とこまいことをしたい。「一袋倹約」運動。