通訳

 たわいもない内容なのだが、通訳を介して2時間くらい話を楽しんだ。全く一言も分からない言葉だから、通訳無くしては話せない。彼女を連れてきたのがそもそも通訳なのだから心強い。首脳会談や有名人に対してのインタビューで、通訳を介して会話が行われているのをしばしば見かけるが、自分が経験してみてほとんど不自由を感じなかった。若干の時間差が生まれ、同時に吹き出すような瞬間は得られないが、内容を吟味して一緒に笑えることも分かった。相手をいたわる心さえあれば何ら問題ないと思う。いたずらにつたない外国語を駆使するよりはるかに意志疎通は出来ると思う。  厳しい寒さの中を自転車でやってきた。帰る時間は夕暮れが迫っていた。袖のない薄いジャンパーを着ているだけだから、寒い寒いを連発していた。日本で過ごす初めての冬で衣装にとまどっているのかもしれない。従姉妹の子がくれた女性用のコートが2枚余っているから、それをあげようと思ったが、寮に帰れば10人の集団だから不公平になる。必ず公平を保たないと共同生活を壊してしまう。制約の多い労働条件の中で、何とかモチベーションを維持しながら懸命に毎日働いているその子達に、何をしてあげれるのか、何をしてはいけないのか悩ましい。屈託のない笑いを見せてくれる二人に慰められた2時間だった。