サーカス

 その豪快さはいったい何なんだろう。2週間ごとに二人連れの女性が漢方薬を取りにくる。遺伝的に立派な素質を二人とも受け継いでいて、発症は時間の問題だと思う。それを解決するのが僕の仕事かと思ったが違っていて、それぞれの今、直面している症状をとればいいらしい。かなりとれ始めているからそれはそれでいいのだろうが、せっかく出来た縁だから、健康で長生きしてもらわなければ申し訳ない。少しづつそちらの方に処方をシフトしている。  二人ともとても立派な体格をしているが、話しているとまるで吉本新喜劇なのだ。往々にして僕が笑わせるのが薬局の風景なのだが、二人に関しては全く逆で、僕が楽しませてもらっている。立場を忘れて大笑いしてとても心地よい状況にしてもらっている。その様な素質を持った人は時々いるもので、天性の人を笑わせる能力に敬服する。  しかし、今のままでは近い将来天性の素質も生かされなくなる。元気で長生きして多くの人を笑わせて、心地よい時間を与え続けて欲しい。セミプロ並みの力を持っているのだから。豪快な生き方の裏に何が隠れているのか僕は知らない。綿密な計算で大笑いさせてもらっているのかもしれない。幸せな時間を多く与えた分、自分たちも幸せであり続けて欲しい。ピエロの居ないサーカスはないのだから。