発泡酒

 今年の夏は、珍しく毎晩発泡酒を1缶飲んでいる。飲酒の習慣がないのでどうしてもと言うのではないが、8時に薬局を閉めてから夕食の時に飲む。のどの渇きを癒す為だけなのだから、何を飲んでもいいのだが、お中元に恵比寿ビールをいただいてから、習慣のようになってしまった。1缶がいくらなのか知らないので一体どのくらいの金額を費やしているのか知らないが、飲んだ後の睡魔との戦いよりも、のどの渇きを優先させてしまう。僕はアルコールによる脳の機能低下を期待しているわけではないから、量を飲む必要がない。のどの渇きから解放されればいいのだ。  最近親切のシャワーを浴びている。市内の薬局仲間、薬の問屋のセールスたち、そして多くのお客さん達。それぞれ立場は違うが、それぞれが出来ること以上をしてくれる。それぞれが道徳的で、不浄のものを許さない。医療人としての潔癖さや、医療を支えている自負心の高さに驚いている。そして全くの受身であるべき僕の患者さんですら、僕を励ましてくれる。  明かに薬局に笑顔が増えた。誰のものか分からないが、誰ものものなのだろう。それぞれが一生懸命働くのは気持ちがいい。きれいごとではないが、患者さんが治ること以上に嬉しいことはない。結局、唯一の目標である、その簡単な事実の為に懸命に働くのだ。それ以外の不道徳で頭をいっぱいにしているような人間に医療人としての資格はない。 今日もいくつも親切に触れた。新しい患者さんとの出会いもあった。やるべき事をちゃんと、特に薬剤師としての勉強をちゃんとしていかなければ、やがてこの僕も居場所を失う。正しい薬剤師の前に、正しい人間として生きねば全てを失ってしまう。