堤防

 テレビの天気予報を見ていたら、全国的に大気が不安定になり、雷が発生しているみたいだ。牛窓でも夜の8時頃からはじまって、今だ光っている。遅くても数時間で過ぎ去ることがわかっている雷にさえ、人はびくっと驚くのに、これが止むことのない爆弾の音だったらどうだろう。雷に当ることはほとんどないが、爆弾はあたる為にあるものだから、確率は交通事故どころの比ではない。同じように生を受けても、幸せのうちに生きていけれるかどうかは分からない。生まれた時代、生まれた土地、そして何よりも戦いを求めた大人達の存在によって、人生は翻弄される。  雷鳴が空気を揺さぶる。時代の雷鳴はもうそこに雷が落ちると教えてくれているのに、誰も気がつかない。だれも逃げない。やがて時間100mlの集中豪雨になるのに、誰も堤防を築こうとはしない。鍛えられた精神の堤防ほど強いものはないのに。