薬剤師

 10月からの健康保健の一部改正(改悪)の説明会が岡山であった。会場は700人収容の施設なのだが、それでも立ち見が沢山出ていた。僕は運良くぎりぎり席を確保できたのだが、3時間近く立ったまま退屈な伝達事項を聞くのはつらい。岡山県内の調剤をしている薬局の人間が集まったのだが、嘗てとは様代わりして、若い人が多い。若いと言っても本当に若く、20代の薬剤師が圧倒的に多いのだと思う。その華やかな外見で膨張しているのかもしれないが、恐らく実際に多いのだと思う。薬剤師が足らない時代が長い間続いているから、引く手あまたで職を得ている彼ら彼女らに悲壮感はない。明るさと自信を感じる。  嘗て僕らは、薬剤師になると言うことは、軽医療(医者にかかるほどでもない軽い病気)を担うものと理解していた。ところが歳月は、薬剤師を医療の中に組みこんで、医者と協力して患者を治す立場に変えた。だから同じ薬剤師と言っても、そもそも立脚点が違うのだ。僕は勿論前者だが、漢方薬と巡り会ったお蔭で、医者にかかっても治らないものまでが僕の範疇にはいって来た。むしろそれがいまでは一番多くなっている。  数年前、僕は若い薬剤師の講演中の私的な会話にうんざりしていた。でも数年のうちにヒソヒソ話は消えた。患者さんの前に立てば若さなど関係ない。一人の人格者として患者さんは見てくれる。それに耐え得るように日々の研鑚を若い薬剤師は始めたのだろうか。何十年後に果たして彼ら彼女らが本当に求められる薬剤師として存在しているかどうか分からない。今日の伝達講習会にも丁度中堅で薬業界を引っ張っていかなければならない世代が非常に少なかった。どこで何をしているのか分からないが、存在をしっかり主張して欲しい。