嗅覚

 TBSの5月9日放送の番組の中で紹介された「白インゲン豆ダイエット法」なるものを試みて、650人の人が何らかの不都合を生じて苦情を寄せたらしい。専門家によると成分の「レクチン」というものが加熱不充分の状態で残り、胃腸粘膜に炎症を起こし嘔吐や下痢を起こしたのだろうと推測されている。多くは外来で点滴治療ですんだらしいが、数人は入院したらしい。僕はこの番組を見たことがないから分からないが、類似の他の番組も、所詮視聴率を稼いで、スポンサーからいかに多くの宣伝料を取るかが第一義だ。それ以上のテーマは放送局にはない。娯楽だって、スポーツだって、今は政治だって視聴率以外に関心はない。地味であるべき分野を、娯楽のレベルまで脚色して、洗脳に似た結果を惹起する。正義面した不正義、健康面した不健康。分かりにくい分だけ太刀が悪い。与えられた情報を裏から読む習性がないと、大きな力に簡単に飼いならされてしまう。僕達は知識も経験も、力さえも、巨大企業の前では、ダニの重量ほども持ってはいない。自分自信を守れるのは、胡散臭い物を見破る動物が本来持っている能力だけなのだ。ところがこの本能までもが退化している。嗅覚は食べ物の為だけにあるのではないのだが。