分類

 素人だがうすうす気が付いていたことがあり、今朝の新聞で専門家が「医療化のリスク」と端的に表現していたのを見て納得がいった。漠然とした感じが言語化されたことで僕にとっては自信にもなる。
 毎日相談を受けていて、判断を迫られる場面がある。これは明らかにお医者さんの仕事、これは僕(漢方薬)の出番。これはご自分や家族、社会の問題。前後のちょうど真ん中が僕ら漢方薬を勉強している人間の出番だ。高度な医療や強い薬が必要な時は、受診を勧める。薬でお手伝いしたほうがいいけれど、現代薬には適応する薬がない場合など漢方薬の出番だ。問題は後者、薬や医学では解決できないだろうことまで、医療に依存してしまう分野が増えてきているのではないかと思うのだ。僕の言う「うつうつ」など、一気に精神病薬に行くのではなく、休暇を取り、友と遊び、野や山で自然の力をいただくようなことをすれば改善するのだと思うが、すぐに医療に丸投げしてしまう人がいる。逆に手遅れになるまで自分で頑張ってしまう人も多いみたいだが。
 多くの苦しみがお金と友人で救われるとある作家が言っていたが、なるほどなとうなづける。お金と友人でしか助けられないものを医療化してしまうと、本質が見えなくなるばかりか、大切な人から離れていくことになる。居場所が医療の中でしかなくなってしまう。何事も何かの範疇に分類してしまわなければ非効率な世の中に、なんとなく違和感を持つのは漢方をやっている人間の故だろうか。