牛窓国際交流ヴィラ

 牛窓の国際交流ヴィラは、名前の通り外国人向けの宿泊施設だと思っていたら、日本人も泊まれるらしい。牛窓に住んでいる僕が知らなかったのに、関東地方に住んでいるその女性は知っていた。だから彼女は僕の薬局を訪ねてくれる時に利用した。素泊まりで4800円?位だと彼女が教えてくれたから安いのだろうか。食事など外人よろしくコンビニ弁当で済ませればいい。  病気?について沢山1日目に喋ったから、2日目は偶然開かれていたオリーブ漬けの体験を楽しんだらしいが、「昨夜、ヴィラの方に親切にしていただいた」と教えてくれた。その内容は、夜喉が渇いたから何か飲みたかったのに、飲み物が販売されていなかったらしい。すると、管理人が、下に下りるから(ヴィラはオリーブ園と言う小高い山の上にある)そのついでに買ってきてあげると言ったらしいのだ。事実飲み物にありつけたらしいが、この些細な親切が彼女にはありえないくらいのレベルのものに映ったらしい。「〇〇では、ありえないですよ」と言った言葉が証明している。  大都会に暮らす彼女にとっては、この地に暮らす人間にとって当たり前のことでも特別な行為に見えたらしい。この辺りの人情を持ってでしか測る術がない僕達には、違和感がある。都会の光景がゆがんでしまっているのか、田舎の人情が時代遅れなのか分からないが、都市部の環境の荒廃を、田舎の田や畑や山や海がが守っているのと同じように、都市部で暮らす人間の精神の荒廃を、田舎で暮らす人間が守っているような気がする。田舎の人間の心が壊れたときに、この国は本当に壊れてしまうだろう。