倉敷天領太鼓

 毎年この時期に楽しみにしている倉敷音楽祭の和太鼓のコンサートに行ってきた。倉敷天領太鼓の演奏会なのだが、ますます上手になっていて、岡山県のチームもこれでどこの県のチームにも劣ることはなくなったと確信した。
 中心人物の山部泰嗣がプロなのは分かるが、倉敷天領太鼓そのものがプロなのかどうかわからない。ただ、腕前は明らかにプロ。太鼓おたくの僕が言うのだから間違いはない。プロとアマチアの境界辺りには、多くの打ち手がいるが、明らかにプロの腕前となるとそんなにいるものではなく、公演を聴きに行く機会が少ないから、滅多に遭遇できるものではない。
 有名なプロ集団の過剰な演出が苦手な僕には、今日の精一杯の地味な演出が肌に合う。演出の一歩手前ぐらいで頑張っているところがいつまでも新鮮でおれる理由かもしれない。醸し出す雰囲気は、刀で切られるくらい研ぎ澄まされているのに、その理由は演出ではなく、演者の真摯さ、懸命さなのだ。限界まで打ち続ける姿は、心身ともに鍛錬されて初めて聴衆の心を感動に導く。
 少しずつメンバーも増えているみたいで喜ばしい限りだ。フィナーレで横一列になったときに数えたら11人いた。席が後ろの方だったので顔は判別できなかったが、11人が色々な組み合わせで出演していたのだろう。若い女性もいたが、筋肉隆々の男性にも決して劣らない大きな音も出せる。どのように鍛錬しているだろうと思われるほどの迫力だった。
 毎年このコンサートで春を迎える。この年齢になっても何故か太鼓の音を聴くと、明日へと誘われる。それも何か良いことが起こるのではないかと思わせるような明日へと。

2-7 荒城の月 2014年山部泰嗣コンサート Koujou no Tsuki Yamabe Taishi Concert 2014 - YouTube