跋扈

「人新世の『資本論』」で知られる東京大准教授の斎藤幸平さん(37)の文章を読んで・・・

 コロナ前の京都に行ったときに、どこに行っても外国人ばかりなのにうんざりした。世界的に有名なのはいいが、落ち着いて観光する環境にはない。日本人が落ち着いて観光できないのは本末転倒ではないか。テレビを見ていても外国人が跋扈する光景を繰り返し放映されるので、自ずと避ける対象になった。
 インバウンド様様のコメントを聞くと、なんだか空しくなる。恥ずかしくなるの方が正しいかな。おこぼれ頂戴が嫌なのだ。おもてなしと言う重宝な言葉を前面に出し、卑しさを隠しているさまが痛々しい。いつの間にか日本人の立場が逆転し、後進国の人達に、おべっかのし放題。
 いずれこの国の若者も出稼ぎにいかざるを得なくなる。1世紀前に逆戻りだ。永遠に繫栄が続くわけではないが、悲しいかな、政治屋の愚策で谷底に落とされる人たちの怨念の松明に火が付けられることはない。

 東京自体は別に暮らしやすい場所ではないと、私も22年から久しぶりに住んで実感しています。それでも、そこに仕事があり、お金があるので人々が吸い寄せられてきます。一方、家賃や物価も高く、周りからのサポートも得難い。東京都の合計特殊出生率は1.04と全国で一番低いわけです。
 東京は人口を他の都市から吸い上げるけれど、それを食い潰すだけで次の世代が生まれてきません。自分達ではエネルギーも、食料も、何も作ることが出来ません。典型的な「収奪モデル」です。東京がどんどん発展することは、必ずしも日本全体が豊かになるということではありません。それが資本主義の一極集中がもたらす失敗です。
 このままいくと東京の中心部だけは成長し、そこで暮らせる人達は一部の特権階級で、その周りに特権階級に仕えるようなサービス業の低賃金の人達がいて、その外には過疎化していく地方と言う3層構造になりかねません。
 今のインバウンド市場もそうですが、富裕層向けのレストランや百貨店、高級ホテルなどが次々にできています。一方、そこで働いている人達は必ずしも高給ではありません。いわゆる「召使」階級です。彼らは「無料の」スマホのゲームをしたり、ユーチューブの動画を見たりして、余暇を過ごし、飼い慣らされている。これが「超格差社会」の現実です。

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