許可

 過敏性腸症候群の方は繊細な人が多いから、漢方薬の注文メールにも、能登の人達に対する思いやりの言葉が並ぶ。また当然年初からの大惨事に不安感を募らせる人も多い。
 そういった方にはさすがに声をかけることはないが、元気な方には能登にボランティアに行ったらと声をかける。行くと答える、答えられる人はまずいない。いくら同情心があっても、よほど体力と気力がないと行けるわけがないから。
 今日の夕方に、漢方薬の注文電話をしてきた女性がいる。岡山県の方だが牛窓からは2時間以上かかるところに住んでいる。現代医学的にはうつ病。僕に言わせればウツウツで過ごしている方。でも最近は働くこともできるし、特技を生かした講師もしている。笑い声が素敵なうつ病?の方。
 こんな診断名が正しいのかと、疑いたくなるような女性だが、年末は二刀流でさすがに疲れていた。ところが今日の電話では受話器をとった瞬間から体調が復活したことが伝わって来た。そこで要件が終わってから「そんなに元気になったんだから能登に行け!」と言うと、なんとご主人が行く気満々で「行ってもいいか?」とその女性に許可を求めてきたらしいのだ。「許可?当然行かせて上げるんじゃろ?」と僕が尋ねると、その許可と言う意味が分かった。
 ご主人は東北沖地震の時に、それこそボランティアに行きかけていたらしいが、その頃は奥さんが本物のその病気で、行かないでとお願いしたらしいのだ。だから今回こそはと張り切っていて、奥さんに許可を貰おうとしたらしい。「邪魔するなよ!喜んで送ってよ!」と僕が言うと、思わず受話器を耳から離したくなるくらい大きな声で、それも随分と長い間笑い続けた。
 うつ病と言う病名は誤診だと思われるくらい気持ちの良い笑いで、僕の心も楽しくしてくれる。そうか、当時の病態は今では想像できないくらいだったんだと、復活のお役に立てれたのも嬉しいし、一人の善意を間接的にお手伝い出来るのも嬉しかった。

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