現金

 心強い一言を貰った。
 かの有名な、日本一広い駄菓子売り場に勤めている男性が漢方薬を取りに来た時に「やっと、自分の会社に行くことが出来たよ」と、祭りのお菓子を40人分注文しに行ったときのこと、その1週間後に受け取りに行ったときのことを話した。
 もう10年以上彼は僕の薬局を利用してくれているが、お菓子を食べない僕は彼の会社に用はなかった。ただ、お祭りで子供の接待を依頼されたときに真っ先に頭に浮かんだのが彼の勤めている会社だった。 訪ねてみて確かに規模の大きさと、客の多さに驚いたが、一番興味があったのが張り紙で「現金以外使えません」と、まるで時代遅れなことを堂々と宣言していることだった。
 僕の薬局も全くその通りなのだが、時にカードを使おうとする方に対して、小さくなって謝る僕の薬局とはまるで違う。堂々と高らかに宣言してそれで通るところが凄い。恐らく多くの方は、わざわざ現金を用意してやって来ているに違いない。
 そこで彼に聞いてみた。「何で自分の所は現金だけと書いているの?」と。すると、「カードだと、カード会社に結構手数料を取られるんじゃろう。それなら安うして、お客さんに喜んでもらったほうがええが」と理由を教えてくれた。まだ若いから役職についているのかどうかわからないが、なかなかいいことを言う。規模が違うが僕の薬局、と言うか娘と同じ考えだ。若い娘が機械化を拒否することに最初驚いたが、僕の考えと似ている。
 僕は結果的には似ているが、もう少し手厳しい。商売人がない頭とある体を動かして懸命に働いて得る売り上げの一部を、快適なオフィスでパソコンに向かいキーボードをたたく人たちに何故渡さなければならないのか。もっと言えば、その会社のオーナー、タワマンの最上階で贅沢三昧で暮らしている人間に渡さなければならないのか?
 僕は、その金があれば一つでも薬草を加える。
 彼の言葉を聞いて、この時代遅れを当分自信を持って貫こうと思った。

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