無関心

 「ああ、時代が変わったんだな」とつくづく思い知らせれた1日だった。恐らく個性ではなく、20年の間に国民性も変わってしまったのだろう。原因は経済、豊かになったってことだろう。
 初めて知り合った20年前、いやいや10年、5年前でもここまで割り切る人はそんなにはいなかった。20年前に日本にやってきたベトナム人は総じて貧しくて、また日本の企業も厳しくて、自由はなかった。金もない自由もないその頃、僕の存在は彼女たちにとっては、未知の世界の案内人だった。見るもののすべてに興味を持ち、その感動がひしひしと伝わってきて、より僕を駆り立てた。
 それが最近やってきたベトナム人たちは、かなり生活水準が上がっていることをうかがわせ、日本の文化も習慣も、そんなに興味の対象ではないように思える。時に知的な人がいればさすがに好奇心は駆り立てられるみたいだが、多くは、無関心。ただ稼いで帰ればいいと割り切っている。
 僕の高松3部作の今日、フェリーからの眺め、玉藻公園然り、大道芸然り、ほとんど興味が持続せず、かなりの時間、スマフォをひたすらいじっていた。スマフォをするのにフェリーはいらないし、玉藻公園でなく寮でいい。まして、視線を送らない大道芸など意味がない。
 楽しんでくれているかなと時々目を配るが、4人がひたすらスマフォをいじっている姿を見せられるたびに空しさがこみ上げてきた。嘗ての幻想を追い求めた自分を責めながら、どうして一人で来なかったのだろうと悔やまれた。3時間立ちっぱなしで、腰と足の筋肉の緊張に耐え、我ながらよく見続けられたのが、唯一の収穫だ。
 価値のない無駄な企画を大きく上回る収穫ではないが、何か一つでも得るものがないと浮かばれない。いやいやもう一つあった。誰も小雨の中、3階のデッキに上がる人がいない中、大型フェリーのデッキを独り占めできたのは良かったかな。

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