自暴自棄

 2週間後の今日、再注文の電話の中で症状報告をしてくれたのだが、確かにパチンコをしている間は、何年も悩んでいる症状が軽かったそうだ。してやったりとばかりに「じゃろう!」と大見えを切ったのだが、彼がその時間症状がほぼ消えたのにはもう一つ理由が重なっていた。
 なんと彼は3500円つぎ込んで58000円持って帰ったらしいのだ。そんなに勝てば誰でも病気のことなんか忘れて、幸せホルモンが出っぱなしになるだろう。痛いのも痒いのも、寝れないのも歩けないのも忘れるだろう。ひょっとしたら空だって飛べるかもしれない。
 僕らが学生の頃は遊びと言えばパチンコとマージャンしかなかった。どちらも毎日数時間していた。昼はパチンコ、夕方もパチンコ。夜は麻雀。年に2回の試験前以外は1秒たりとも勉強をしたことはない。
 牛窓に帰ってから半世紀、パチンコもマージャンもしていない。働くことが好きだってことがあるが、バレーボールと言ういかにも健全なスポーツにはまってしまって、アパートの4畳半の狭い部屋の中で副流煙の中で毎日何時間も過ごしたのとは天地の差だ。4畳半の中で4人が、ほぼ吸わない時間がないくらい次から次に吸う。今思えばなんでみんなまだ生きているのと言うくらい劣悪な環境だった。若さと言うものが壊れゆく細胞群を修復できていたのだろう。
 今の若者の生活を僕はほとんど知らない。だから「パチンコでもしたら!」とワンパターンの助言を繰り返す。自暴自棄の数年間を、自暴自棄の仲間たちと過ごして得たものもないことはない。その筆頭は「僕の青年時代よりいいやん!」と言う所から僕がお世話を始められること。そこを基準にすると解決方法が何となく浮かんでくる。