祝日

 23日の祝日の前日、薬局を閉める30分前にある女性が飛び込んできた。「明日休みじゃなあ、忘れとった。〇〇をくれん?」と言いながら間に合ったことでほっとしたのか、テーブルの前の椅子に腰を掛けた。少し雑談をしていると同じように男性が飛び込んできた。顔を見合わせて「おめえも来とったんか」と照れ臭そうに言った。二人は夫婦だ。
 彼も翌日が休みだってことを忘れていたみたいで、間に合ってほっとしていたが「明日はなんで休み?」と誰にともなく尋ねた。僕はなんで休みなのか知らないから答えあぐねていると奥さんが「明日はふみの日じゃ」と答えた。すると漁師の旦那が「海の日?海の日って年に2回あるんか?」と尋ねると奥さんは「海の日じゃないわ!ふみの日じゃ」と答えた。僕と旦那は同時に「ふみの日?」と尋ねる。ふみの日と言われて何となくそうかなと思ったし、何となく違和感もあった。「ふみの日って、何の日?」と当然僕も旦那も尋ねる。すると奥さんは「カレンダーに文と書いてあったよ」と教えてくれた。文と言う字が一文字書いてあると言うが何の休日だったっけと考えても思い浮かばない。友引とか仏滅とかが書かれているのは分かるが、文と言う字は見たことがない。もしかして文化の日?と思ったが、「文」一文字と言うのは見たことがない。
 となると一体何だろうと思いながら気にはなったが、何の日かわからないのに自信たっぷりの奥さんに押されて、何となくその日は終わった。
 そもそも祝祭日などに全く興味がないから、いつが何の日かほとんど知らない。まして最近の政府が決めるようなことには反感しか持たないから、余計頭はブロッキングしている。
 翌日になって文の日って何の日なんだろう、国が手紙でも書けと言う日か、室町時代安土桃山時代に帰れってことかと思いながらカレンダーで確かめてみた。すると皆さんが知っている通りの祝日だった。僕は「マジ知らなかった」
 たわいのないテーマでのたわいもない時間が、その日の精一杯を慰めてくれた。

加川良さん「こがらしえれじい 」 - YouTube