唯一

  げに恐ろしや。メキシコでは現在も10万人が行方不明らしい。自分が、大学の劣等生だったことに唯一感謝できる出来事がある。
 大学4年生の時、と言っても2回目の4年生だが、就職する気もないままなんとなく過ごしていたら、教授から呼ばれて「メキシコに行かないか」と言われた。なんでも予定していた院生が、なぜだか行けなくなって、僕に振ってきたのだ。
 当時僕は目的もなく、なんとなく生きていただけだから、どうなってもよかったのだが、院生が求められている仕事内容を僕にできるわけがないので迷うことなく断った。仕事で外国に行けると言うメリットよりは、役に立てないと言う確信があったから迷う余地もなかった。
 当時、メキシコについて何の知識もなかったから、治安の悪さなど知らなかった。いつのころからかそのことを知ったが、時々妻が「あの時引き受けていたらとうに殺されている」と冗談ぽく言うが、恐らく冗談ではなく現実になっていただろう。若い何も知らない若造が、マフィアの街で青春を謳歌するようなことをしていたら、すぐに後頭部を拳銃で撃たれて土に埋められていただろう。今も昔もそんな国なのだ。
 先輩がなぜ断ったのか知らないが、ひょっとしたらそんな国であることを知っていたのかもしれない。とすると教授もそれを知りつつ僕に振ってきたのか。もしそうなら正解だ。いてもいなくてもよい学生。いやいやいないほうが良い学生だったのだから。これはひがみではなく客観的な評価だ。何ら社会の骨格には寄与出来ない人間だから、僕みたいな存在は都合がよかったかもしれない。そうしてみれば、薬学に対する知識のなさを正当に評価していたことだけがまともだった。

 

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