陰陽

 多くの方に知恵を頂いて、来年のいつ頃になるかわからないが、ドッグパークを作るめどが立った。
 一角にカフェみたいなものも作るが、任せられる人材が得られるまで、とりあえず娘が担当することになった。薬剤師とそれとの兼務はきついから早く人材を確保したいのだが、薬局の一連の存在と考えているから、誰でもというわけにはいかない。犬を連れてきてくださる方はもちろん、僕の期待している「人と触れ合うチャンスが少ない人々」とも親しく接してくれる人でないといけない。
 あるものを売りにしようと、娘が先日2泊3日で修行に行った。片道7時間かけての移動だったから疲れるのではないかと心配していたら、全く疲れなかったそうだ。丸1日修行もしているのに。
 その理由が考えさせられるものだった。とにかく楽しいのだそうだ。薬局などよりはるかに多くの方が来られるのに、厨房でも接客でも楽しくて疲れないらしい。「買いに来る人が幸せそうだから」「うちだったら1日が終わるとぐったりするのに、全く疲れなかった」
 これを聞いて僕は悪いことをしたと思った。牛窓に帰ってきて、楽しそうにやりがいを持って積極的に働いているから、気力体力ともに充実しているのかと思っていた。確かにスリムだが病気もしない。漢方薬は10年以上僕の勉強会に参加していたから知識は十分あるが、まだ僕ができるからもっぱら調剤とOTCの販売に携わってくれているが、それでもいわばオールランドプレーヤーだ。患者の訴えを僕みたいに前面ではなくても、かなりの割合で受け止めていたのだろう。
 僕は性格的にこの仕事があっているのだと思うが、見ている人が不思議がるほど、体調不良の方のマイナスの影響を受けない。どう見ても働きすぎ状態の時以外は大丈夫だ。ただ娘は毎日しんどかったのだ。
 その娘が楽しくて仕方ない経験をし、それを牛窓で実現してくれる。負担をかけて申し訳ないと思っていたが、陽の気が娘の体を巡る時間と空間が出来ることになる。薬局が陰なら、そこは陽だ。多くの孤独な人たちが、ワンちゃんの愛くるしさをフェンスの外から見るだけで心が救われその日が少しでも幸せであってほしいと思う。

 

【れいわへの応援メッセージ!】岸本聡子氏(トランスナショナル研究所 研究員)【 #衆院選2021 】 - YouTube