身振り手振り

 身振り手振りで教えてくれた広さは、せいぜい1m四方くらいかそれより一回り広いくらいだ。それで400万円だから、さすがに花の都大東京だ。
 80歳に手が届いたのを機に、東京と牛窓の二重生活を終えようと思っているらしい。数年前に、お母さんの介護のために牛窓に帰ってきてから牛窓と東京を行ったり来たりしていたが、お母さんが亡くなってからも同じような生活を続けている。余生を牛窓でのんびりとと考えていたわけではないみたいで、牛窓の土地と家を売ってそろそろ東京に帰る予定を立てているらしい。
 今住んでいる家はどうするのと尋ねると、瀬戸内市役所が、牛窓に移住したい人に斡旋してくれるらしい。牛窓の家はたいてい庭も広く、山と海に囲まれているから移住希望者が多く、買い手は見つかるだろうと言うことだ。水洗トイレだったらまずOKらしい。
 その男性の土地は65坪だが家が古いから350万円と役所は見積もった。男性が東京で手に入れたいと思っている土地の一区画と同じ値段だ。1メートル四方が65坪より高い。田舎の人間にとっては考えられない金額だ。
 東京の地理は全くわからないが、青山と言う地名はさすがに知っている。青山大学と言う箱根駅伝の常連校があるところだろうか。一区画400万円もするのだからかなりの商業地価高級住宅地か。その街に、自分では謙遜なのだろうが石造りの小さなものを建てると言っていた。鉄筋コンクリートでもなく木造でもないようだから、どこの国の建築様式だろうか。イメージからしたらモスクとか?
 体重が3桁の方だから、外見だけでも大金持ちに見えるが、実際もそうなのだろう。僕など体重も財布の中身も足元にも及ばない。
 男性が手に入れる土地の傍には立派なお寺さんがあって、そこのお世話になるらしい。そこを通さなくてはならないから、都会のお寺さんは不動産業なども手広くやっているのかもしれない。その上に、石造りの建物は、お寺さんの指定の業者でないといけないらしい。都会で終の棲家を造るには結構縛りが多いものだ。
 「ご主人、そんな特定の業者しか造れない様な石の建造物はモスク風なの?」とあてずっぽうに尋ねてみた。すると「我が家は純粋の仏教だから、ごく普通の形ですよ」と手振りで直方体が立っている姿を示してくれた。
 「それでも結構高いのでしょうね?」と尋ねた。「いやいや、結構田舎の方が立派なのが多くて、東京なんてこんなものですよ」と、小ささを強調した。
 何々!一区画が400万円で、腰辺りの高さの石でできた直方体?そばにはお寺さんがあり、特定の業者と契約?街は青山?
「墓じまいかい!」

 

自民腐敗人事・安倍晋三が岸田新総裁に驚きの要求!政治家のマネーロンダリングと裏金の作り方。政界ココだけの話。元朝日新聞記者ジャーナリスト佐藤章さんと一月万冊清水有高 - YouTube