指南

 最初にそのサプリメント(血管を守り痴呆を遅らせる)を勧めたのは20年以上前のような気がする。サプリメントと言っても、今や病院ではしばしば処方される優れもので、当時は薬局の独断場だった。
 当然その時はご本人に会ってのそのサプリの選択だったのだが、思えばその時以来会ってはいない。毎回お嬢さんが取りに来る。その時に様子を教えてくれることもあったが、いつも元気と言う報告だから安心して?関心も失っていた。最近では妻が会計をするだけだ。
 今日偶然、僕がレジのそばにいる時に来られたので、様子を尋ねてみた。するといつものように元気と答えるだけだった。そこで気になって今何歳か尋ねると、なんと102歳だった。となるといつもの淡々とした「元気です」が重みを変える。102歳で元気。それも飲んでいる薬は高血圧の薬だけらしい。失礼ながら痴呆について尋ねると、たまにはおかしいことを言うときもあるがほんとど問題ないそうだ。
 恐らく、そのサプリメントを勧めた僕などよりはるかに元気、高血圧の薬を出している医師よりはるかに元気に違いない。僕もその医師も102歳まで生きられないだろうし、生きても元気ではおれないだろう。ただ若いと言うだけで、お世話をしているだけで、健康の手本にも僕らはなれない。将来、長生きの達人みたいな人の足元にも及ばないだろう。生命力でとても及びもしない人の世話を、職業的な理由だけでお世話をするのがおこがましいほどだ。
 お嬢さんが評価してくれるようにお役に立てれている感は滅茶苦茶あるが、なんだか免許皆伝の方に武芸の指南をしているようで気恥ずかしい。

 

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