夜が明けるのが早くなったおかげで、朝の散歩も随分と早い時間帯にできるようになった。それは僕だけでなく多くの方も同じだ。
 いつものようにテニスコートを歩き回っていると、体育館の陰から人の話し声が聞こえた。陰と言っても中学校の中を横断しているれっきとした町道なのだが、建物にまだ隠れている時から話し声が聞こえたということだ。その方向を見ているとなんと大きな犬がゆっくりと現れた。明るい茶色のゴールデンレッドリバーがしっぽを嬉しそうに振りながら飼い主らしき男性を従えていた。するとそのあとに女性一人を含む3人が、3匹の犬ともに現れた。あまり詳しくはないが、小型のシェパードみたいなのと、コーギーミニチュアダックスかな?犬同士は仲が良いみたいで、吠えあうこともなく、付かず離れずで飼い主と行動を共にしていた。そして4人はお互い挨拶を交わしていた。
 しばらくして4人と4匹は運動場に場所を移し、それぞれの犬のリードを外した。犬たちは自由にされたが走り回ることもなく、喧嘩することもなく、それでも尻尾をいっぱい振ってつかの間の自由を楽しんでいた。その光景を見ていて、なんてのどかなのだろうと思った。そして4人とも僕より年上に見えたから、犬たちより長く生きる自信があるのだろうとも思った。人の顔まで判別できないからどういった家の人かわからなかったが、僕ら世代だと結構家族は少なくて、ワンちゃんこそ家族みたいな人が多いのだろうと思う。
 偶然集ったのか、示し合わせて集合しているのかわからないが、犬を4匹放して中学校の運動場を即席のドッグランにしているところがいい。こんなことが何気なくできる懐の深い町であってほしいと思う。