保護犬

 保護犬を世話しようと引き取ったらお腹に6匹の子供がいた。笑い話のような話だが、実際に娘の家で進行形の話だ。ある県の施設から引き取ったのだが、保護施設で放し飼いだからそこでどうやら妊娠したらしい。NPO曰く、問題のある県らしくて、保護犬に罪はない。
 6匹いると相性が悪いのがいて、昨日から1匹を娘夫婦が連れてくる。まだ3ヶ月が来ないかわいい子犬で、こんな犬同士が血を流すようなけんかをするのかと、にわかには信じられなかったが、愛情を注ぎまくりの娘が1匹だけ連れてくるのだからよほどのことらしい。2階にサークルを作って囲っているが、余りのかわいさに皆が交代で見に行く。保護犬はさすがに野生で、完全には気を許さないが、子犬は生まれたときから人間と接しているから敵意は感じられない。モコが死んでから1年になるが、もう犬は飼わないとモコに誓っていたが、保護犬ならモコも許してくれそうな気がする。
 6匹の身の振り方で我が家にも子犬が来るかもしれないが、僕達の人生と子犬達の人生のどちらが長くなるかは分からない。もし最悪僕らが引き受けなければならないなら、息子や娘に悪いのでせめて巨大なドックランでも作って残そうかと思ったりしている。放し飼いにできるくらい広い場所があれば散歩だけでも手が抜ける。
 数年前にベトナム人たちの寮として買って上げた土地が、余りにも広くて、手に余っていたのでそういった利用方法があるなら、悔いもない。利用しづらい土地も一緒に「買わされて」いたのでこれで敗者復活になるかもしれない。
 ある日ふと連れてきた保護犬のおかげで、時間に色彩が出てきた。出来れば暖色でそれらを飾りたい。