疑問

 実際には困らないが、若干の好奇心を解決できないままいたのが、今日思わぬことで解決した。
 玉野からの帰りに時々ある大きなスーパーに寄る。お昼ごはん代わりにパンを買うのだが、そこで最近目にする光景が気になっていた。僕はレジに並んで店員さんにお金を払うのだが、ある人たちは無人のレジで自分で商品を清算している。様子をうかがってみるようなことはできないから、最終的にどのように支払っているのかは分からない。現金で買っているのかカードか分からないから、カードを持っていない僕はうかつには近寄れない。ピピーーとバーコードを読ませているから、レジ打ちを自分でやっているようなものだが、どう見ても自己申告だ。と言うことは申告しなければお金を払わなくてすむのではないかと、不純な心の持ち主の僕はすぐそんなことを考えてしまう。その疑問を解決しないままついさっきまで持ち続けていた。
 先ほど買い物に来た若いお母さんがある話からの発展で、偶然そのことに言及してくれた。チャンスとばかりに日ごろの疑問をぶつけてみた。同じような業態に勤めている女性だから、当然その手のことにはめっぽう詳しい。言葉で教えてくれたのだが、僕は頭の中で疑似体験をし、結局はやめとこうと思ったが、疑問は完全に解けて少し楽になった。
 僕は、バーコードを通さずにポケットに入れれば一つや二つは非合法的にいただけるのではないかと思っていた。店舗側はなんておおらかなのだろうと感心していた。ところが彼女が教えてくれたところによると、商品が入った買い物籠の重量を最初に測るところがあり、それをバーコードを通しながらもう一つのかごに通していく。最終的にはその重量が同じにならなければならないのだ。それでポケットに入れるのを防ぐのだ。そしてそのままお金を払わずに突破する輩もいるのではないかと懸念をぶつけてみると、ちゃんと店員さんが見張っているらしい。一人で何台も見張れるから経費はやはりかなり安くつくみたいだ。
 やっと理解できた。疑問を持ちつつ挑戦する勇気は持っていなかったから「今度挑戦してみてください!」とその女性に言われても、その気にはなれない。こうなれば時代に置き去りにされたような振りをして、時代の前を行く。物ではなくて。