連休

 連休中、炎天下にそんなにいたつもりはないのだけれど、根が色白で日焼けしやすいタイプなので、結構赤ら顔になっている。それに、ベトナム人を精力的に色々な所に連れて行ったから、それなりに疲れていて、今日の僕はいつも以上に精彩がない。そのおかげで、今日薬局に来てくれた人たちへの僕のもてなしはおおむね成功した。
 薬をカウンター越しに渡してから、多くの方に一声かけた。「ヨーロッパはどうだった?」と。ほとんどの方は一瞬にして僕の問いの意味がわかって「ヨーロッパには行かなかったけれど、〇〇(字名)をしっかり守っていた」「ヨーロッパには行かなかったけれど、原っぱには行った」などと答えた。田舎の人がほとんどだからヨーロッパ旅行をするような人は多くはない。まして僕の薬局を利用してくれる人は庶民ばかりだから、そこまで行動範囲を広げられる人は少ないだろう。そこで今日の僕の風貌が生きる。「先生は行かれたんですか?」とほぼ全員が聞き返してきた。そこで僕は「海外には2度行った」と答える。すると「2回も行ったんですか?」とこちらの思う壷にはまってくる。「そう、1回は高松、翌日は丸亀」遠くの方には分からないが、どちらも香川県で、瀬戸内海をフェリーと瀬戸大橋でそれぞれ渡った。ローカルのくだらないギャグだが、休みが長かったせいで、さび付きそうな脳を覚醒するにはこの程度でいい。あまりにも高尚なギャグを言うと、「先生はイカれたんですか?」と聞かれそうだ。そう切り替えされたら次も用意していたのだが、それは使う機会はなかった。「イカれているのは汚部じゃあ、こんなに長い休みを作って、貧乏人が働いて金持ちが遊ぶ」