移住

 今週は毎日のように町内の学校を訪ねている。毎年恒例の学校の環境調査のためだ。僕が牛窓に帰って来た頃に比べると格段に環境はよくなり、調べなくても良いのではと思いながら、各学校を訪ねている。  西小学校に行ったときに面白い事を先生に教えてもらった。と言うのは、過疎化して生徒数が激減しているにもかかわらず、ある学年が突出して生徒数が多かったのだ。他の学年の倍、少ない学年に比べたら3倍くらいいるかもしれない。当然、僕はその理由に興味を持った。理由は、原発避難を含めた都会避難の家族が西小学区に増えたからだそうだ。何でも、災害が少ない県としてまず岡山県を選び、気候温暖な区域として瀬戸内市を選び、海の傍と言う条件で、牛窓が最後に残るのだそうだ。それに牛窓土人の僕が付け加えるとすれば、人のよさで鹿忍地区(西小学区)を選ぶのだろう。  牛窓町牛窓、長浜、鹿忍の3つの地区から成り立っているが、無理やり特徴をつけるとしたら、クールな牛窓、お百姓堅気の長浜、人情の鹿忍だ。牛窓は中心だから何処となくクールだが、長浜や鹿忍は人がとても穏やかでいい。もし隣人にでもなれば野菜などくれまくりだろう。恐らくそうした事に心地よい思いをした移住先駆者達がネットワークを利用して誘っているのではないかと思う。  どうしても口にしないといけない親密さ、或いは迂闊を除いて、決して東のものを口にしない楽しくて安全な生活が送れる。貪欲な企業のいけにえにならなくてもすむ人生が送れる。そうした価値観の人にはやはりうってつけだろう。