僕は問診の時に「夢をよく見ますか?」と尋ねることが多い。そしてよく見ると答えた人には「それは悪夢ですか?」と尋ねる。僕にとって漢方薬を作る時のある指標で、結構大切なものだ。夢を見ない人と、よく見る人、或いは悪夢を見る人では処方も若干違ってくる。なんとなく深層心理に抱えているものの重さがこれで想像がつく。  そんな僕が二夜連続で悪夢=いやな夢を見た。昨日は、床下から煙がモクモクと湧いて来た。火の元はかなり気にするタイプだが、夢の中では結構落ち着いていた。パニックに陥るようなことはなく意外と冷静なまま目が覚めた。今朝は、中学校の運動場に沢山の人といたら、上空をコンコルドみたいな旅客機が飛んで来て、しりもちをつくように墜落し炎上した。逃げなければ危ないと言うことで少しの距離を走って逃げたが、これも意外とパニックに陥ることはなかった。  僕が夢をよく見るようになったのは浪人をしてから、それも受験を3ヵ月後に控えた頃からだ。今でもよく覚えている。現役で失敗してから受験のモチベーションは一気に下がり、パチンコ屋に通うのが日常になった。勉強はほとんどしなかったから現役時代よりはるかに成績は下がった。これではいけないと気がついたのがお正月を前にした頃だ。そこからさすがに勉強した。そして夢を毎晩見始めた。よほど切羽詰って気が立っていたのだろう。その後大学でも勉強はしなかったが、さすがに受験とは心理的な圧迫感が違う。特に気にするほど夢が自分ではテーマにならなかった。それから再び夢と言うものを意識し始めたのはこの15年位前からだ。  僕が年齢を重ねて、少しは実力がついたのか、或いは漢方薬を標榜する薬局がどんどん廃業して、おのずと商圏が広がったのか、田舎の薬局にしては多くの患者さんが来てくれるようになった。そして結構年季が入った患者さんが多くて、頭を悩ますことが多かった。そして感情移入をする癖がある僕は、効果を感じてもらえない方に対する罪悪感も後を絶たなかった。そんなこんなで多夢の復活だ。ただ、日々の仕事は僕には喜びだったし、今でも喜びで、幸運にも一度も嫌になった事はない。だから国家試験の夢くらいで他のパターンの悪夢は見なかった。  それがどうして2日連続で嫌な夢を見たりしたのだろう。何が深層でうごめいているのだろう。あたっているかどうかは分からないし、原因を単純化してはいけないが、思い当たるもので上位のものを挙げれば、必ずやって来る南海沖地震牛窓震度6だと言われているし、津波も満潮なら1メートルはくだらない。次は、戦前回帰をもくろみ国民を奴隷のようにしか思っていない馬鹿が牛耳る政治。それに従順を決め込む国民。その次は・・その次は、トンイを殺そうとするチャン・ヒジェとヒビンの兄妹。「許さん!」