胃腸風邪

 今年流行るノロウイルス(胃腸風邪)は新型だからほとんどの人が免疫を持たず、誰でもかかる可能性が高い。だから、僕の薬局で作っている胃腸風邪用の漢方薬を前もって持っていてくださいとお願い(宣伝)しているのだが、まさか僕が早くもお世話になるなんて。  最近とみに大食いが続いていた。出されるものは残してはいけないと言う教育を受けてきたから、僕は基本全部平らげる。この数日自分でも食べる量が多いのではないかと思いつつ、癖は抜けない。昨日の昼など、トーストとおにぎりと日本そばを食べた。前二つでお腹一杯になっているところで妻が、日本そばを茹で上げたから、満腹だったけれどやっとの思いで食べた。そんな伏せんがあったから目覚めたときに吐き気がしたが、食べすぎだと思っていた。それでも朝食にトーストと目玉焼きなどを食べて、母の施設に向かった。道中も結構周期的に吐き気に襲われたが、やはりまだ、食べすぎで片付けていた。施設で母の足をマッサージしているときにも吐き気が続いたが、朝布団の中で寒気がしていたこと、頭痛も取れないことなどを考えて、ひょっとしたら胃腸風邪かもしれないと思い、牛窓まで薬を作りに帰った。普通ならそこで休めばいいのだが、今日は運悪く僕がお世話させてもらっている漢方薬の勉強会があって、年初の会だから、会費の集金と新年会の司会進行と言う2つの大きな任務もあった。だからどうしても又岡山まで戻らなくてはならなかった。2時間無駄な動きをしなければならないが、新年会に出られなくても、集金と新年会の段取りだけはしなければならなかった。その後は倒れてもいいから、とにかく午後3時くらいまでは何とか持って欲しいと思った。もし胃腸風邪なら、僕が作る漢方薬以外効くものはない。だから2時間の行程も迷うことはなかった。時間もぎりぎり間に合うし。  会場に着くと先生と広島の若い薬剤師がいた。いきさつを話すとなんと先生もその薬剤師も正に僕が作りに帰った漢方薬を持っていた。2人とも都会の方だから僕みたいな田舎の流行などとは規模が違うから、かなり用心されているんだと感心した。勉強が始まっても、吐き気もおさまらないし、昼食を抜いたのにお腹もすかない。集金は抜かりなく出来たが、会食は無理に思えた。そこで漢方薬を飲んで2時間しか経っていなかったが、2回目の漢方薬を飲んでみた。すると30分位して空腹感を覚えた。そして気がついたらむかむかをほとんど感じなくなっていた。  これなら料理に箸をつけれるかなと思い、3時半から始まった新年会では恐る恐る口に入れてみた。すると刺身がとても美味しかった。いつもなら僕はかなりのハイピッチで食べるのだが、今日は意図的にゆっくり口に入れた。それからは、女性陣よりも遅いスピードだが、結局は7000円分のコース料理のほとんどを楽しむことが出来た。(これは会費から充当される。毎年僕が口にする最高級料理だ)  僕は職業柄免疫が出来ているのだろう、胃腸風邪には30年前くらいに1度かかっただけだ。だから、あれだけ取りに来る胃腸風邪用の漢方薬を飲んだことがない。結構人気の薬でいつもカウンターの上においているのだが、飲んでみて、人気があるはずだとわかった。結局、僕が不快感に襲われていたのは、午前7時から午後2時くらいまでなのだから。  今日の不快症状で、新型に対する免疫が出来れば幸運なのだが。