手紙

〇〇さんへ

 この手紙を読んでくれるのは、関空に向かうバスの中でしょうか、それとも飛行機の中でしょうか。  あなたを含めた数人と初めて会った日は、まだ寒い時期の、小雨が降る岡山城でした。あなたは興味深そうに、明らかに他の女性達とは違った視点で、城を見学しました。そしてその時に僕に言った言葉を、その後のあなたとの接し方の基本においてきました。「日本の文化についてもっと知りたい」は、あなたのように日本語を操れる人たち、国に居たときに日本語を勉強した人たちに共通した希望です。僕は多くのあなたと同じ国の人に接してきましたが、日本の経済的な豊かさだけを、実際にはそれを支えに来てくれるのですが、表面的に見て帰っていただくのには抵抗がありました。だから、僕の紹介できる範囲のこの国の文化に触れていただこうと苦心しました。ただあなたは体調を早い時期に崩し、僕の企画に参加できる機会が極端に少なかったです。そのことだけが今日送り出すあなたに対しての心残りなのです。  あなたはこの国で働いて、不本意な帰国を余儀なくされました。ただ、そのことで今の体調不良からあなたが解放されることを僕は知りました。だからあなたを見送ることが辛くはないのです。あなたと一緒の日々を送ることができただろう後2年が、果たしてあなたにとってどれだけの意味を持つかは誰にも分かりません。国に帰り、家族と再び平和のうちに暮らすことが出来ればそれに勝るものはないでしょう。  国に帰ってからの健康や仕事の不安をあなたは最近なって教えてくれましたが、それらは何処で暮らしていても常に付きまとうもので、何処で暮らしても乗り越えていかなければならないものです。ただ、体や心を壊してまで頑張るものなどこの世にはありません。悲鳴を上げることは恥でも何でもありません。身は自分で守らなければならないのです。僕は遠くこの国に居て、あなたの悲鳴が聞こえるように耳を澄ましておきます。ぜひ1人で頑張ったりしないでね。  いつか又会えます。世界情勢がどんどん変わって、あなた方もいつか自由にこの国に来ることができるようになるでしょうし、僕もいつかは仕事をやめて自由な時間をもてるでしょう。  最後にクリスチャンのあなたに贈ります。あなたの国の言葉で既に知っているかもしれませんが、あなたはこれからも僕にとって大切な人ですから。                                           日本のお父さんより

貧困と飢えのうちに生きて死ぬ世界中の仲間のために、主よ、仕えることのできる人にならせてください

私たちの手を通して、今日この人々に日々のパンを与えてください。

私たちの理解を通して愛を、平和と喜びを与えてください

主よ、あなたの平和を人々にもたらす道具として私をお使いください

憎しみのあるところには愛を

不当な扱いのあるところには許しを

分裂のあるところには一致を

疑惑のあるところには信仰を

誤っているところには真理を

絶望のあるところには希望を

暗闇には光を

悲しみのあるところには喜びをもっていくことができますように

慰められることを求めるよりは慰めることを

理解されるよりは理解することを

愛されることよりは愛することを

求める心をお与えください

わたしたちは自分を忘れ去ることによって自分を見出し

許すことによって許され

死ぬことによって永遠の命をいただくのですから