数年前に、雀が減ったとか見なくなったとか、マスコミで騒がれたことがある。確かにそういった報道が盛んな頃僕の町でも消えた。その後、いなくなったことも次第に意識しなくなり、なんら違和感はなかった。ところが最近雀は帰ってきた。家の周りでも見かけるし、中学校のテニスコートでも見かける。例の鳴き声も耳にするようになった。農家にとっては好ましくない鳥かもしれないが、あのふっくらとした体つきと、チュンチュンと言う意外ときれいな鳴き声は愛らしい。だから雀が帰ってきてから、なんとなく戸外の風景が楽しげだ。1段ステップアップしたような感じだし、なにより役者がそろった感じがする。  どうして雀がいなくなったのか、逆にどうして雀が戻ってきたのか分からない。何らかの理由があるのだろうが、素人はそこから先は考えない。ただただ自然の力、回復力とでも言うのだろうか、その強さに感心した。この調子で人間が滅ぼしたものを復活してくれればありがたいのだが、消滅に人間が介在したものが一番復活できないのかも知れない。貪欲の極みで最後の一つまで奪い去ってしまうのだから。