座右の銘

 高倉健に特別な思い入れはないけれど、死亡ニュースがトップニュースになるのだから、よほどたいした役者なのだろう。大学を卒業してから映画館に入ったことがないくらい映画とは縁遠いので、解散のニュースより大々的に報じられていることに違和感を覚えた。まさか、アホノミクスから目をそらせるためだとは思わないが、どんな手でも使い、居心地の良さを守ろうとする勢力の原発の事故の後の、なりふり構わずを見たら、まんざら可能性がないとは言えない。  僕らより大分上の世代の人たちがテレビのインタビューに答えて色々な反応を示しているが、すべての人がべた褒めだ。僕は健さんを褒めるより自分を褒めたらと言いたかった。引退しているのか現役か分からないが、答えている人の一人ひとりに歴史が刻まれていた。「あなたもスターだろう」そう言いたかった。  たださすがに高倉健はプロで、老いても、亡くなっても格好良かった。その代表が昨日から話題になっている彼の座右の銘だ。多くの方は昨日の報道で見て知っているだろうが「往く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし」と言うものだ。高名なお坊さんが教えてくれたらしい。仏教についてもまったく知識はないが、一目見て強烈に惹かれた。それは僕だけではなく、インターネットの中でも賞賛の嵐だった。ひょっとしたら、高倉健世代でない人たちにはこの言葉のほうが印象的だったのではないか。僕もその一人だ。あまりにもテレビで取り上げすぎるので勘ぐりたくなることはあるが、あの言葉に接することが出来たのは、やはり健さんのおかげか。