製品名

 「人をかなぐったりしてはだめ」と怒っても、このあたりの子供以外だったら、何を怒られているのかわからないかもしれない。そんな分かりにくい言葉が薬の新製品に使われていたのだから驚く。「カナグル」と言う新しい薬が発売になり、セールスが早速持ってきた。見たとたん思わず噴出すのは岡山県人だけかもしれない。どう見ても標準語には聞こえない「かなぐる」と同じ名前だから噴出さずにはおられない。  岡山弁でかなぐるとは引っかくことだ。爪を立てて移動させると傷が線状になる。そのことをかなぐると言う。新発売の薬は糖尿病の薬らしいが、岡山県民には、そんな攻撃的な薬は受け入れられないだろう。せめて「ナデール」とか「クスグール」くらいなら受け入れられるだろうが、暴力はいけない。  それにしても医薬品は同じ名前を使ってはいけないからそろそろネイミングも限界に来ているのかもしれない。似たような名前で間違うことが往々にしてあるから、よほど気をつけて名前をつけないと医療事故に繋がる。  僕の薬局では、若夫婦がいわゆる薬局製剤と言って、薬局だけが作ることが出来る治療薬を一杯作っている。製薬会社の薬など必要ないくらいだ。ただ名前は日本中画一で、風邪薬3号とか、消化薬2号とかで面白みがない。出来れば規制緩和をしてもらって薬局独自の名前をつけさせて欲しいものだ。僕は以前からそのときのために結構考えてストックしている。名前の権利を確保しておきたいからあまり公にはしたくないが、一つや二つならばらしても惜しくはない。「ムカツーク」「ノボセール」「ヒエール」「オチコーム」「キカナーズ」「アキラメール」「アホノミークス」