使用人

 「競争に明け暮れ、時間や情報に追われる現代人はまさに自然と調和する豊かな感情が失われ、機械の歯車のような存在に貶められていることが新型欝の原因になっている」  この文章は、ある漢方雑誌に投稿されていた九州に住むお医者さんの文章だ。普通の内科を標榜している人みたいだったが、新型鬱に対する洞察が印象に残ったから引用させてもらった。  内科のお医者さんだから、報告内容は内科の病気で、こんな病気に漢方薬を使ったらよく効きましたというような事例の紹介だったのだが、最後のまとめの部分で、太陽をはじめとする自然に感謝し、自然の恵みを頂かなければこれからの時代に健康を維持するのは難しいと、持論を展開されていた。事例報告の場を借りて常日頃感じていることを、全国に発信したかったのではないか。又漢方薬の事例発表の場には似つかわしくはなく、漢方薬や漢字などの文化を入れてくれたのは中国や韓国だから、もっと感謝しなければならないとも書いていた。昨今のヘイトスピーチや売らんがための週刊誌のなりふり構わない下劣な内容を憂えてのことだと思う。どうも日本の医師は、経済最優先で、なんでもない人に抗精神病薬を処方したり、福島の放射能漏れに対して無関心だったり、まさに受験と言う競争に明け暮れて得た職業だから、精神が片手落ちどころか、両手まで落ちている人が多い。そういった意味で、投稿されていた医師の強いメッセージが、あの世界では異質のように感じた。  若者や壮年をどんどん精神疾患に追い詰めてもなお、金が欲しい輩が今の政権を支えている。貧乏人や病弱な人達が間違っても支えてはいけない。泥棒に家の鍵を渡しているようなものだ。物も精神も根こそぎ持っていかれる。僕らはやつらの使用人ではない。