集団

 企業と言うものは、こうした人たちの集団だから強いだろうなと思う。個人がかなうものではない。理路整然としたしゃべり方、忠誠心、義務感、野心。体調不良の相談をしているときでも、僕ら個店の人間とは違う。ただそうしたものが行き詰ったときには己に向かってくる刃物になる。そして心を病む。  漢方薬で解決してあげると、ずいぶんと力が抜けるらしくて、笑顔が増え、話題も自分の趣味にまで範囲が広がり、見ていてとにかく楽しそうだ。だからこちらまで楽しくなり、ついつい立場が逆転して、こちらが教えを請うているようになる。特に僕が自分の専門以外に疎いから、驚きの連続で皆さん楽しそうに教えてくれる。こんなときは専門馬鹿が役に立つ。いや間違えた「専門も馬鹿」が正しい。  ドラッグストアが牛窓に進出してきて、薬局は勿論ほとんどの商店が影響を受け、衰退するだろうと、誰もが思っていただろう。さすが開店当初は多くの商店が影響を受け、商店主は浮かぬ顔をしていた。ところが最近になって、どのオーナーも、心配顔をしなくなった。吹けば飛ぶような商店が、吹いても飛ばぬようになったのだろうか。あるいはドラッグストアの肺活量が意外と小さかったのだろうか。冒頭で述べた企業戦士たちの集団と戦いにもなりそうにない人たちが、なぜか自信を取り戻している。長年築いて来た信頼?友情?などが防波堤の役をしているのだろうか。  心を病むほど働かなければならない人たちが、大きな集団にも個店にもいる。人生と言うのは言われるほど素敵なものではない。何のために、何故働きづめになるのか分からないまま働きづめになる。インプットされたいくつもの問答無用に抗うことすらできないまま読みさしの本は閉じらようとしている。