危惧

 なでしこジャパンの凱旋を見ていてすごく気になっていたことがある。ほとんどアマ集団がなしえた業績をマスコミが金儲けに使って彼女達のモチべーションを奪ってしまうのではないかと言うことだ。案の定、スポーツウーマンの集団に対して、馬鹿司会者などがほとんどタレントなみの扱いをしていた。雑草だからなしえたことを無視して、ウインドウに飾られた根のない生け花にしようとしている。 それに気がついている選手もいて、湯郷ベルの宮間選手などは東京のマスコミに出ずにさっさと岡山に帰ってしまった。どうして彼女がバラエティー番組にチームメイトと一緒に出ないのだろうと思っていたら、地元での会見で「一時のブームで終わってしまう」ことを危惧しているからだと知った。正確なキックで沢山の得点のお膳立てをした少年のような選手だが、世の中の本質を良く知っていて自制心を持って臨んでいたことを知った。「グランドの中でしか表現できない」自分の立ち位置も良く知っている。  騒がれれば騒がれるほど理性も知性も勇気も謙遜も忘れ去り、見るに耐えれない風貌に変わっていく人達を毎日のように見せられている。堕落って簡単なことだ。身に余る光栄を演出してもらえば一気に転落できる。ブレーキを鍛えていない人間にとって、過去は一瞬にして失えるものだ。マスコミの使い捨ては常套手段だから、せめて彼女たちには手を出さないで欲しい。餌食にするには余りにも「ごく普通の女性達」だから。  史上最悪の毒性物質さえ安全と言いふらし、形勢を見て立ち位置をためらいもなく変える奴らだから、湯原温泉の風呂掃除をしながら世界一になった女性など簡単に褒め殺し出来る。君子危うきに近寄らず。寄ってしまったメンバーのその後が気になる。