「私らに嫁に来る女性は楽だと思いますよ」と言い切るから、余程自信があるのだろう。確かに、岡山県全ての市町村の首長と話をしているくらいだから、実績もあるのだろう。名前を出せば多くの人が分かる組織を再建した人だから、その筋では有名だ。長年そのトップを勤めた人だから経済的にも余裕があると見た。家の傍には果樹園が出来るくらいの庭もある。  一方「僕らに嫁に来る人は苦労すると思いますよ」と言い切れるくらいそのことには自信がある。肩書きがある偉い人は嫌いだから避けるし、人より幻想を優先する組織という胡散臭いものからは遠ざかるし、経済も心も余裕がないから、建坪一杯に家を建て掌ほどの庭もない。  「ご主人、どうしてご主人の所にお嫁に来る人は楽だと思うの?」まるで正反対の僕にもプライドがあるから尋ねてみた。「そりゃあ、私の嫁になる人は楽ですよ。姑もいませんしなあ」「それは結構売りですね」「ご主人は今年何歳になるんですか」「85です」 いる分けないじゃろう、われーっ!