天秤

 奇跡以外では解決できないことがある。それを願って毎日神仏に祈る。ふと通りかかった神社仏閣、当然教会でも頭を垂れる。どれだけの人が同じような行動をしているだろう。恐らく何十万、いや何百万の人が同じような想いで同じような行動を取っているに違いない。科学でも医学でも及ばない苦しみの中にいる人、あるいは取り巻く人達の苦痛は無限。健常の遠く及ばない彼方だ。 深く頭を垂れ祈る人の力を僕は知らない。だけど奇跡を呼び込んだ人達、客観的な裏付けなどは勿論ないが、当事者や、取り巻く人達にとっての確かな奇跡を呼び込んだ人はいる。奇跡としか言いようがないと彼らは又深く頭を垂れる。見えない力を神、仏と崇め跪きひたすら謙遜を実践する。 思い残すことがないことは幸せだ。例え未来を失っても、それは取るに足らない。取るに足らないから失ってもいいのだ。今ある不運を奇跡が救ってくれたら思い患うことなど何もない。取るに足らない未来などとは天秤にはかけれない。  奇跡を頂く代わりに差し出す事が出来る唯一のもの、それは謙遜。