人は人によって傷つけられ、又皮肉にも人によって癒されもします。現代のストレスはそのほとんどが家庭と職場なのです。ごく普通に暮らしている人の、ごく普通の言動に僕は感動することが多いのです。如何にもという人のそれにはほとんど心を動かすことはありません。貴方の回りにも、いつも成功を求めて生きている人もいるでしょうが、質素に懸命に生きている人はいませんか。そんな人の何気ない仕草や、何気ない言葉に心を打たれることはありませんか。そんな小さな感動を積み重ねていったらいいです。僕は人相手の仕事を30年やっていますが、いつもその様なところを見てきました。当然、僕にとって好ましくない人も多く来ます。でもそれは僕にとって好ましくないだけで、世間の多くの人にとっては好ましい方なのかもしれません。僕のために皆さんがいるのではなく、僕のために世間があるのではなく、僕のために会社があるのでもありません。もっと言えば僕のために晴れたり、僕のために雨が降ったりするのでもありません。そう考えられるようになって、無駄な戦闘状態を心の中に構築することが少なくなりました。好ましからざる人や環境を恨むのではなく、すべてが現在を、この一瞬を構成しているパーツだと受け入れてみてはどうでしょう。僕らは誰もその一つ一つの存在を否定することは出来ないのです。  まだまだ若い貴方にさび付いた僕の処世術を伝授しても仕方ないかもしれませんが、僕の何倍も可能性を約束されているあなた方青年が、心の窒息状態から脱出して欲しいのです。今の時代になかなか差し伸べられる手は見つけることが出来ません。だけどポケットから手を出しさえすれば貴方自身が、希望だとか愛だとかを掴むことが出来ます。屋根の上でまどろむ猫でさえ貴方の手を待っているのですから。