身長

 「日本小児アレルギー学会は、子どもの気管支ぜんそくの治療で広く使われている吸入ステロイド薬を、より慎重に使うよう注意喚起する声明を出した。副作用で子どもの身長の伸びを抑える可能性が、海外で報告されたためだ。ただ、治療の効果は大きいため、病状をこまめに調べて、使うのは必要最少量にすることを求めている。子どもの身長の伸びが抑制され、その影響は成人した後も続くという報告が、3年ほど前から米国で相次いだ。」 おかしいなあ、今24歳の男性が小学生か中学生の頃、僕はその子の母親にステロイドで身長が本来より少し低くなるよと話したことがある。恐らく10年以上前のことだと思う。どうして田舎のそれも勉強熱心でない僕がそんなことを知っていたのだろう。そして何故今頃になってまことしやかに大本営から発表されるのだろう。その母親は基本的には僕の漢方薬でお子さんの喘息の世話をしたが、時に発作を起こし救急で病院にかかったりした。その時には当然ステロイド治療だった。ステロイド治療を避けることは出来ないが、ダラダラと治療することには抵抗があり、母親とは頻繁に連絡しあった。成人して背丈が父親を越えているから母親の気持ちが通じたのだろう。  この様に、巷の単なる薬剤師の懸念や、もっと言えば、素人の患者さん達の懸念の方が真実だったりすることは結構ある。もっとも、製薬会社と言えども唯一営利を目的に成り立っているのだから、そしてお金大好き学者が、なんとでも製薬会社の意に添うように研究結果をねつ造したり、好ましからざるデータを隠したりするのだから、あれ、東電の話をしていたのかな、いや、やっぱり製薬会社の話だ。余りにも似ているのでこんがらがってしまった。  何時代も、鎌倉時代室町時代も、今のようにお金目的でありとあらゆる悪行を人はしてきたのだろうか。どの時代かに、良い国であったり、良い民衆であったりしたのだろうか。勝手に神話を作られて、いいようにあしらわれているのではないか。そう考えると、力んで生きるほどの価値はないような気がする。