埼玉県の青年へ

 埼玉県の青年が、信州の山並みをドライブしたときの写真を送ってきてくれた。高い山から麓を写したものと、新車と後ろ向きの青年が写った写真が2枚。新しい車には初心者マークが貼られていた。メールで送ってくれた風景も美しかったが、写真の鮮明さにも驚いた。便利になったものだ。その種のことが出来ない僕には、それさえ羨望に値する(?)テクニックだ。  彼はメールの中で、車の免許を取ったことが未だに信じられないと書いてくれていた。彼が免許を取ることを決意し、教習所に通うことに幾ばくかは力になれたと思うが、でもほとんどは彼の力に負うところが多い。若者の力なんて、何かのきっかけでいくらでも引き出しのばすことは出来る。願わくば次なる人生の目標を定めてもっと多くを手にして欲しい。免許証は彼が手にするただ最初のものでしかない。お腹を理由にいろいろなことを諦めている人が多いが、是非それだけはやめて。人生もったいなさすぎる。周りを巻き込んで知恵を集めれば何とかなるものだ。ひとりで頑張ったらだめ。負けてしまう。  写真には後ろ姿の彼が写っていたが、ジーパン姿ですらっとした姿は何十年前の僕と同じだ。皆同じように苦しみ同じように喜び何とか生きていくのだ。信州の山彦は貴方になんて返事をくれたか。